- Vol.9 几帳面 メフメット・エフェンディ チチェッキ・パサジュ 妖しい瞳
- Vol.8 ロクムの老舗 プラタナスの木の下 ボスポラス 夏休み
- Vol.7 スレイマニエとファティフ
- Vol.6 カプタン 船と働く人 ヴァプルをささえる職人芸 ヤルも迎えてくれる桟橋
- Vol.5 いろんなことばが聴こえる街 ビュユック・アダの坂道 オレンジジュース 6本ミナレ
- Vol.4 カパルチャルシュ 春色の海峡 春はそろそろ 霧の日
- Vol.3 冬の朝 ジュース売り ナザールボンジュ そんなにめずらしいかな
- Vol.2 サバサンド ガラタ橋その2 エミノニュ桟橋 ガラタ橋その1
- Vol.1 (このファイル) ピエールロティカフェ クズクレシ イスタンブルのS席 空撮
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- トルコの旅と食事と温泉と とるこのととと
- イスタンブルTips ボスポラス・クルーズ とるこのとととプレビュー
ピエールロティカフェ
ほこりっぽい景色がやがて夕焼けに。
そして、やわらかい光の夜景に変わってゆきます。
ガラタ橋から続く金閣湾が大きく右に蛇行するあたりが、エユップ地区です。このあたりのランドマーク、エユップ・ジャミー(モスク)の裏手から、墓地の中の坂道を登ると、ピエール・ロティ・カフェにたどり着きます。
目の前の金閣湾には無粋なバイパスの橋が架かり、この丘の上にあるカフェも昼間はじっと、涼しい木陰で休んでいます。けれども午後も遅い時間、影が長くなるにつれ、一組、また一組と坂道を登ってくる影が目立ってきます。
空が少しずつオレンジ色に変わるころには、席を探すのも大変。金閣湾の眺めにはお構いなしのカップル、おしゃべりに高じるグループ...客層はさまざまです。
さっきまでのほこりっぽかった景色が日暮れとともに隠されて、おだやかな光の夜景に。そろそろ肝試し半分、墓地の中の坂道を下ることにしますか。エユップの通りからタクシーを拾い、さて、今日はどこで一杯やろうか。
「ボスボラスの向こうの小さな灯台」が気にはなっても、アジア側のこのあたりにやってくるツーリストは少ないようです。けれども、イスタンブルの人、特にアジア側に住む人たちには、夕食の後にちょっと涼みに行ったり、仕事や学校の帰りにぶらぶらするための格好のスポット。
ユスキュダルの桟橋を降りて、まず目に付くのはずらりとならんだバス乗り場。そして、海沿いを右の方に進めば、「サバサンド」を売る小舟、あやしげな物売り。車をとめて夜景を眺めているのかと思えば、実はそのわきでちゃっかりフリーマーケットやっていたり...暖かい季節の夜は、縁日のような雰囲気。
海沿いをどんどん進み「縁日」も途切れるあたり、写真のクズクレシが近づきます。好きなだけ眺めていってください。
イスタンブルでは、アジア側からヨーロッパ側へ通う人々が大勢います。ボスボラス海峡にはすでに2本の橋が架けられていますが、中心街からは遠いという事情があり、通勤や通学の足はもっぱらフェリーに頼っています。
トルコの場合、1年の半分は時計の針を1時間進めるサマータイム。そのうえイスタンブルはトルコの中でも一番西の方。圧倒的に定時で退社する人が多い国ですから、大勢の人がフェリーから夕日を眺めることになるわけです。
フェリーにに乗り込むときには、「よい席」をめぐってちょっと殺気だった雰囲気が漂いますが、一度落ち着いてしまえば...東京の通勤電車と違って、のんびり、ゆったりという空気になります。
こんな景色を毎日眺められるというのは、うらやましいな。
このサイトのために飛行機をチャーターして撮影、というのは大ウソです。
1993年春、エジプト、ヨルダン、イスラエル、シリアを旅した際、帰りの飛行機はイスタンブル発になりました。そのときに、チェックインカウンターのお姉さんに「イロ目」を使い(ダダをこねただけ)、「左の窓側、翼にかからない席」をリクエストして撮影しました。ちょうどシェケル・バイラムの初日にあたっていたので、搭乗待合室ではナツメヤシのお菓子をもらい、ちょっとうれしかったのを覚えています。
このとき利用したシンガポール航空は、ダーラン経由でシンガポールに飛ぶルートでしたが、笑えたのはダーランから乗ってきたアラブオヤジ2人組です。飛行機が水平飛行に入るやいなや「サッサとウイスキーを持ってこい!」と大騒ぎしており、おなじ酒飲みとしては、なんとも親近感を覚えるものがありました。やっぱりどこにでもいるものですなぁ、ご同類。