- Vol.9 几帳面 メフメット・エフェンディ チチェッキ・パサジュ 妖しい瞳
- Vol.8 (このファイル)ロクムの老舗 プラタナスの木の下 ボスポラス 夏休み
- Vol.7 スレイマニエとファティフ
- Vol.6 カプタン 船と働く人 ヴァプルをささえる職人芸 ヤルも迎えてくれる桟橋
- Vol.5 いろんなことばが聴こえる街 ビュユック・アダの坂道 オレンジジュース 6本ミナレ
- Vol.4 カパルチャルシュ 春色の海峡 春はそろそろ 霧の日
- Vol.3 冬の朝 ジュース売り ナザールボンジュ そんなにめずらしいかな
- Vol.2 サバサンド ガラタ橋その2 エミノニュ桟橋 ガラタ橋その1
- Vol.1 ピエールロティカフェ クズクレシ イスタンブルのS席 空撮
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- サバサンド 409KB トラムウェイ・シルケジ 643KB テュネル 1.45MB ノスタルジック・トラムウェイ 1.87MB
- トルコの旅と食事と温泉と とるこのととと
- イスタンブルTips ボスポラス・クルーズ とるこのとととプレビュー
創業1777年の老舗、ハジュ・ベキル。観光客で賑わうエジプシャン・バザールのすぐ近く、昔から続いている可愛らしい店に、今日もロクムが並んでいます。
時間が止まったと錯覚するほど静かな店内で黙々と仕事を続ける人たち。エジプシャン・バザールの激しいセールスとはあまりにも違いすぎて、ひどく愛想がないと怒り出す人もいるかもしれません。
しかし寡黙な職人も、ひとたび話し始めるとトルコ人の本領を発揮してくれます。客好きで、愛想が良すぎて、暇乞いをする理由に困らされることでしょう。
長い夏時間が終わり、時計の針を1時間遅らすごろ、秋は通り過ぎて、プラタナスの木も枝だけになってしまいます。
晩秋の朝、乗り物がラッシュで混み合う時間帯を見送ろうと、チャイの店に立ち寄ってみました。夏の昼間は観光客でごった返すこの店も、冷え込んできた今朝はまだだれもいません。
夏、混みあう店で目を血走らせていた店員はいなくなり、迎えてくれたのはいつも観光客と店員のトラブルを取りなしていたおじさんひとりです。永らく立ち寄っていなかった客のことを、おじさんははっきりと覚えていました。
ほどよく雲が浮かんだ青空と、海峡の両岸をつなぐ吊り橋、そして海につながった邸宅-ヤル-がならぶ、ボスポラスのよくあるひとこまです。
パンフレットやガイドブックには、必ずといってよいほど掲載される典型的なイスタンブル。トルコへ行ったことのない人でも、馴染みのあるカットかもしれません。
社交辞令の絵はがきのように「ありきたりの風景」であることは、誰もが認めるところです。けれどもひとたびイスタンブルを訪れれば、いつまで見ていても飽きが来ない不思議な魅力にとりつかれてしまいます。
1時間半にわたって海峡をゆくボスポラス・クルーズの航海。ヴァプルの航路の中では、トップクラスの長距離線です。
座席がほぼいっぱいになる夏休みの週末。船が出るときは決まって「熾烈な椅子取りゲーム」が繰り広げられます。普段はおっとりした人々をなりふり構わぬゲームに熱中させてしまうのが、この海峡の魅力です。
それでもたいていは席にありつけます。スピードは結構速いのに、なぜかゆったりした気分になれるヴァプルの旅。船にも、人々にも、そして街にも、余裕が感じられることでしょう。