- Vol.9 几帳面 メフメット・エフェンディ チチェッキ・パサジュ 妖しい瞳
- Vol.8 ロクムの老舗 プラタナスの木の下 ボスポラス 夏休み
- Vol.7 スレイマニエとファティフ
- Vol.6 カプタン 船と働く人 ヴァプルをささえる職人芸 ヤルも迎えてくれる桟橋
- Vol.5 いろんなことばが聴こえる街 ビュユック・アダの坂道 オレンジジュース 6本ミナレ
- Vol.4 (このファイル) カパルチャルシュ 春色の海峡 春はそろそろ 霧の日
- Vol.3 冬の朝 ジュース売り ナザールボンジュ そんなにめずらしいかな
- Vol.2 サバサンド ガラタ橋その2 エミノニュ桟橋 ガラタ橋その1
- Vol.1 ピエールロティカフェ クズクレシ イスタンブルのS席 空撮
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- ビデオクリップ(Windows Media Player形式)
- サバサンド 409KB トラムウェイ・シルケジ 643KB テュネル 1.45MB ノスタルジック・トラムウェイ 1.87MB
- トルコの旅と食事と温泉と とるこのととと
- イスタンブルTips ボスポラス・クルーズ とるこのとととプレビュー
観光客なら一度は歩くことになるのがカパルチャルシュ-グランバザール-です。 土産物をなんとか買わせようと、「しつこーい」客引きが観光客に群がります。 カパルチャルシュの妖しい光に照らされた商品は、太陽の光の下より断然高級に見え、衝動買いをしてしまう人も少なくないようです。
トルコ人にとってもじゅうたんや貴金属のアクセサリは大きな買い物です。品定めも難しく、なんども店に通ってようやく目当ての品を決断。それでも騙されて、あやしい品物をつかまされた話をよく聞きます。ほんの数日しか滞在しない観光客が、いいものを手に入れられるわけがないんです。
イスタンブルに旅立つ人には「カパルチャルシュには近づかない方がいい」と念を押しているものの、時間を旅してしまったような瞬間に出会える細い裏通りを歩くのは、やっぱり魅力的ですね。
イスタンブルでも、男ひとりの休日は退屈です。こんなときには、安くて、暇つぶしに最適なフェリーに乗るのが定番。
ビールをちびちびやってみたり、小説を読んだりするのも、海の風にあたっていると、陸の上とはまったく違う気分になれます。ちょうど出発しようとしていたフェリーで、海峡の島まで往復してみました。ただ船に乗るだけのために。
帰りのフェリーで午後の日が暖かい外の席に座ると、遊び疲れたおとなはみんな居眠りをしています。この娘はひとりで、波と、かもめと、さっきまでいた島を追いかけていました。
ほんの少し歩いただけで、まったく予想もつかない風景が広がるのが、坂道だらけのイスタンブルを散歩する楽しさです。見慣れたドームの屋根でも、道に迷った1分後に突然丘の向こうから現れると、いつもとは違う光の差し具合にうっとりさせられることがあります。
用事のない午後は、光を探して坂道を上り下りしているだけで退屈しません。いつも賑わうグランバザールからイスタンブル大学を抜け、シュレイマニエに寄り道。モスクの周りをひとまわりして、心配になるくらいに静かな坂道を下ると、車の多い大通りを水道橋がまたいでいます。わずか10分すこし歩くだけで、紙芝居のように変わる景色を見せてくれます。
3月終わりのイスタンブルを注意深く探すと、春らしさが見つかります。光だけを連れてくる冬の日差しはいなくなり、暖かさも連れてくる春の日差しが水道橋にさしています。
冬のイスタンブルは天気が今ひとつ。上着が湿り、靴には泥が跳ねてしまうけれど、この街の冬には、傘を差さずに小雨の中を歩くのも似合います。
ひと冬に何回かこの街にやってくるのが霧。欠航するかもしれないボスボラス海峡のフェリー。霧に融けそうになった海峡の向こうに住む人たちは、普段より少しだけ急ぎ足。
もしもフェリーが欠航してしまっても、心配はいりません。時間を気にせず行きつけの店でラクを楽しめるんですから。サッカーの中継でも見ながら。