イスタンブル点描

魅惑の温泉めぐり トルコ
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いろんなことばが聴こえる街

夏の午後、ゆったり、賑やか。

サハフラル・チャルシュから人混みを眺める
2002年8月掲載

夏のイスタンブルには、世界中の旅人たちがやってきます。普段から賑やかなこの街が、いっそう賑やかになる季節です。

夏の午後はゆったりと過ぎてゆきます。東西の壁が無くなってから、旅人たちの話すことばも、バリエーション豊かになりました。そして、古くから続く本屋街は、今日も賑わっています。本を探す留学生の出身もまた、さまざまです。昔から大勢の人を受け入れてきたこの街には、いろんなことばがあたりまえのように染み込んでゆきます。

数百年この街を見つめてきた本屋街の門からの眺めは、すっかり本来の姿を取り戻したようです。未来の歴史学者には、東西の行き来が制限されていた冷戦の時代も、ほんの短い、小さなできごとに見えるのかもしれません。

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ビュユック・アダの坂道

車のない島の静かな昼下がり。

ビュユック・アダからイスタンブルを望む
2002年7月掲載

プリンセス諸島「アダラル」。マルマラ海に浮かぶこの島々も、イスタンブルの行政区のひとつになっています。けれどもここにあるあるイスタンブルは、今風な大都会の顔をしてはいないようです。

たくさんの民族が暮らしていたオスマン帝国時代のイスタンブル。なかでも活躍していたギリシャ人やアルメニア人、ユダヤ人は、夏の住まいとしてアダラルを好んでいました。そんな時代に建てられたヴィクトリア様式の建物が残っています。

いちばん大きな島はトルコ語でもそのまま「大島」という意味の「ビュユック・アダ」です。自動車は消防車とパトカーしかないこの島を歩いていると、19世紀のイスタンブルを少しだけ想像できる気がします。

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オレンジジュース

搾るだけのぜいたく。

ビュフェの店先、オレンジジュースを搾る
2002年6月掲載

トルコの街の通りには、角ひとつごとに飲み物や日用雑貨を商う「ビュフェ」が見つかります。駅のキオスクのような品揃えと、閉まっているところをなかなか見ることのできない長い営業時間は、旅人にとっても、近所の人たちにとっても便利です。

エフェス・ピルセンの缶ビールを買い込んだり、おやつ代わりのホットサンドをつまんだり、トルコの旅ではビュフェのお世話になる機会も多いでしょう。ひょっとすると1日1回では済まず、2回、3回になってしまうかもしれません。

この季節、店先にはオレンジのいっぱい詰まった網袋が吊されます。豪快にふたつ割りにされたオレンジは簡単な搾り器でこれまた豪快にジュースにされてゆきます。まだまだジュースはとれそうなのに、気にすることなく次のオレンジを搾り始めるのがなんとも贅沢です。

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6本ミナレ

夜、尖塔くっきり。

夜のブルーモスク
2002年5月掲載

スルタンアフメット・ジャミイの前では、毎日が縁日のように流れてゆきます。絵はがき売り、靴磨き、そして土産物屋の客引きの数は、ひょっとすると観光客より多いかもしれません。

暑い夏の日、縁日のような昼が過ぎ去り光のショーが終わるころ、ようやくやってくる静かな時間に、もう一度スルタンアフメット・ジャミイの前を歩いてみましょう。さっきまでは一杯だったベンチも今なら好きなところに座れます。

こんな時間でも、ときどき怪しい日本語で話しかけてくるのが靴磨きや客引き。けれどもちょっと疲れていて、昼間のような元気はないようです。

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