http://turkey.tabino.info/ (1):表紙
外務省「海外安全ホームページ」(http://www.pubanzen.mofa.go.jp/)の記事には目を通しておくことを強く勧めます。
なお、作成者自身はトルコに限らず旅行中のトラブルが非常に少ない方であり、ほとんど参考になりそうな経験がありません。盗難をはじめとする犯罪がらみのトラブルは、被害に遭いやすい方とそうでない方がはっきり分かれる傾向があり、他の地域で被害に遭われた方はトルコでもトラブルに遭遇するリスクが高いと思われます。
治安そのものは相当良い部類に入る。閉店後の商店街やアパートのガードは甘い。できれば避けるべきことだが、夜遅くひとりで出歩くことも不可能ではない。
銃器は一応規制されており、暴力事件に巻き込まれた話を頻繁に聞くような国ではない。しかし旅行者が陥りやすいトラブルはいくつかある。
治安は悪くないものの、観光客相手の客引きは旅行者にとってのトラブルを頻繁に引き起こす無視できない原因になっている。絨毯、旅行会社、土産物、ホテルなど、業種は様々。
対策は「知らない人に付いて行かない」の一言に尽きる。これさえできれば、ほとんどの被害は防ぐことができるはず。
イスタンブルなどの有名観光地で、日本語や英語を使い馴れ馴れしく話しかけてくるトルコ人のほとんどは、こうした客引きであると考えてほぼ間違いない。一見親切そうにいろいろと案内をしてくれたり、食事をおごってくれたのち、彼らの目的である店に連れて行くころには「何か買わなければならない」雰囲気を作ることにかけて、彼らはプロ。
「案内をしてくれたのだから少々高い買い物をしてもよいのではないか?」という意見を抱かれる方もいる。しかし、彼らが連れてゆく店がよい店である可能性は少ない。容易に想像がつくことだが、集客力のない、言い換えれば商品に魅力のない店ほど「客引き」に頼らざるを得ない。
特に、もっとも頻繁に客引きによる被害が生じていると思われる「絨毯」はトルコ人にとっても高い買い物であり、また「難しい買い物」でもある。ほんの数日しか滞在しない旅行者に、上質な品物を買えるような商品ではない。なかには車1台買えてしまうほどのお金を払って買ってきた安物の絨毯を自慢げに披露される方もいらっしゃる。痛々しい話である。
一方、客引き以外のトルコ人は外国語が苦手なせいか、見ず知らずの外人に話しかけるなんてマネはきっかけがない限りなかなかできない。例外は「出稼ぎ」のため外国に滞在していた経験のある人たちくらいである。
それでも遠巻きにひそひそと話しかけるチャンスを探っているようではあるが(これが結構カワイイ)。こういう「一般の」トルコ人は天井知らずに親切な人が多い(お節介とも言うが)。
「客引き」は避けた方がよい種類の人たちであることは確か。しかし、旅行の経験も少なく、またトルコを短い期間しか旅行していない方の中には、「全部のトルコ人が絨毯屋の客引きである」かのような言い方をする方もいる。これもまた極端な捉え方であり、とても残念なことだ。
世界一痴漢が多いともいわれる日本に比べれば少ないのかもしれないが、トルコにもやはりいる。外国人が標的にされやすいという点では、日本にいるときよりも被害に遭う可能性は高いかもしれない。なぜか東に行くほど増える、という意見が多いようだ。
また、被害に遭ったという話は聞いていないが、同性愛者(ゲイ)に迫られた方もいる。これもやはり外国人が標的にされやすいものかもしれない。日本人の男性は体毛、体臭が少なく、その手の趣味の方には好まれているようだ。
ときどき被害が報告されているようで、外務省のサイトにも注意が出ている。「もらい食い」をしなければすむ話だが引っかかる人は引っかかる。飲食物を口にするとき、必ず臭いをかぐ習慣を付けるとリスクを減らせると思う。睡眠薬だけでなく鮮度の悪い食べ物を避ける意味でも有効。
これは被害に遭った方に直接会って詳しい顛末を伺った。絨毯屋の「客引き」よりも巧妙な手口を使ってくるかもしれない。観光客の多いスルタンアフメット地区よりも、新市街の方で起きやすく、観光客よりむしろビジネス客を狙っているらしい。被害に遭った方の話を紹介。
トラムの切符の買い方がわからず困っていたところ、一見まったく普通のトルコ人(外国人の可能性もあります)が話しかけてきて、切符を買ってくれた。その場ではいったん別れたものの、その日の夕方「偶然にも」同じ人物が登場。「せっかくだからお酒でも...」という展開になった。最初の店は料金も高そうだということで入るのをやめ、2軒目もまた入らず、3軒目でようやく店に落ち着くことになった。本人によれば、この時点ですっかり安心していたとの話。
店自体は可もなく不可もなく、という感じで、時間つぶしとして悪くはないと最初は思ったものの、会計はなんと1000ドル。あまりにキリのよい数字であり、怪しさぷんぷん。一緒に入った件の人物は「仕方がないので割り勘にしましょう」と持ちかけてきたことから、やむなく500ドル相当を近所のATMから引き出して支払ったそうだ。
もし払わなかった場合にどうなったのか?意地悪ながら知りたかったところ。この方の場合、最初に会ったときに宿泊していたホテルを教えてしまったせいで、待ち伏せされたようだ。特に高級ホテルに泊まっている場合、宿泊ホテルを安易に教えないことも重要と思われる。
財布やパスポートはジャケットの内ポケットに入れている。スリに遭ったときのリスクは残るが、ひったくりや置き引きが心配なショルダーバッグなどよりはこの方が安全であると考えている。
ジーンズの場合、尻ポケットに財布を入れていることも多い。一見不用心に見えるが、経験的にごわごわしたジーンズのポケットから中身を抜かれることは少ないと判断している。東アジアと違い日本人のパスポート自体が狙われる危険は少ないので、パスポートをシャツの胸ポケットに入れることもよくある。
ホテルに滞在中は予備のクレジットカードと持ち歩かない外貨の現金を旅行カバンの底に見えにくいように入れている。これらはセフティボックスに預けることもある。
長距離を移動するときは財布と旅行カバンの底に「財産」を半分ずつ分散させる。目的地が初めて訪問する街で到着が夕方遅くなる場合には、旅行カバンに入れる分を服の内側に首からぶら下げる貴重品袋へ。
なお、パスポートは携帯が義務づけられている。ホテルの宿泊時、トラベラーズ・チェックを両替するときなど提示を要求される場面も多く、常に携帯しておく必要がある。紛失や盗難に備えて、発行データの記載されたページのコピー数枚をカバンに分散。
再発行の利くトラベラーズ・チェックは、じゃまにならない範囲で数枚を財布の中に、そのほかは旅行カバンの底。財布の中のトラベラーズ・チェックは滞在費に使うほか、万一強盗に遭ったとき「見せ金」にする用途。番号と発行会社の連絡先を記入したメモをすべてのカバンの中と財布に1枚ずつ入れる。
高額紙幣を一番下にし、買い物の時に見られやすい一番上に小額の紙幣がくるよう重ねる。これは日本でもやっている。
ドルや日本円などの外貨はトルコ・リラ札とは別の仕切りに1枚ずつ折り畳んで隠す。1枚ずつに折り畳んであれば、まとめて抜き取られる危険を少しでも減らせると考えているからだ。なお、トルコ人には財布を使わない人も多い。 ほとんどの場合トイレは有料なので、トイレ用の小額紙幣を財布ではなくポケットに入れている(洗濯に注意)。
万が一なにもかもなくしたときに備え、鞄の底やフィルムケース、手帳の裏表紙などに、50ドル札何枚かを分散させて隠している。治安の悪い地域では靴の中敷きの下に入れることもあるが、トルコではそこまでする必要はないと判断している。
100ドル札でも構わないが、50ドル札の方が偽札の多い100ドル札よりも安心できるという考えが習慣になっているため。現金の外貨をできるだけ持ち歩かない主義なので、これらのほかは財布の中に100ドル前後が入るのみ。
自動車の増加とともに事故件数は増えているものの、死亡事故は少しずつ減る傾向にある。死亡者数は年間約5000人で、人口あたりでは日本とさほど変わらない数字。しかし交通量が少ないことを加味すると、事故に遭うリスクは高いと言わざるを得ない。
90km/h制限の一般道路を100km/h以上で流れていることが多いせいで、ひとたび事故が起きると死亡事故になる確率が高くなる(北海道と似ている)。運転は「ラテン気質」であり、普段は穏やかなおじさん、おばさんも車に乗ると人が変わることがしばしばある。レンタカーを借りて長距離を旅行することは勧められない。
事故の中で特に目立つのは、対面通行の国道でスピードの遅い大型車を追い越そうとして失敗するケース。長距離を移動すると道路際にトラックが仰向けになっている光景を一度くらい目にすることだろう。
リスクをわずかでも減らすひとつの方法としてバス会社を選んで利用することを勧める。この資料がバス利用に関する記述「オトビュスをきわめる」に多くの紙数を割いている理由のひとつ。
評判のよいバス会社でも事故の危険はあり、事故「件数」の統計では、バスをたくさん持っている有名バス会社が上位にランクされることもある。しかし、走っている距離に対する事故率ではやはり有名バス会社に分があると考えている。小規模な事業者と比べて労務管理や車のメインテナンスなどの面で、有名バス会社の方が少なくとも「マシ」ではある。
比較的旅行者に利用されるルートで個人的にリスクが高いと考えている箇所は、イスタンブルとアンカラを結ぶルートのうちデュズジェ-ボル間の高速道路が完成していない峠越え区間、見通しの悪いカーブが続く黒海沿いの国道。
事故はどのような交通機関でも起こりうるものであり、あまり神経質になりすぎると旅行をつまらなくしてしまう。しかし、できる範囲で鉄道や飛行機の利用を検討するなどしてリスクを減らすに越したことはない。
可能性が高いとはいえないものの、イスタンブルやアンカラなどの都市でもテロ事件に巻き込まれる危険はある。回避する方法もなく巻き込まれてしまったら運が悪かったと思うよりほかない。
標的にされる可能性の高いところとして政府施設、銀行、高級ホテル、オトガル(バスターミナル)、観光地、混雑した人混みなどがよく指摘される。できるだけ長居をしないよう気をつけること、万が一のための非常口を確認することぐらいはできるが、これといって有効な対策はない。
1990年代と比べてだいぶん落ち着いてきているようだが、東南部の旅行は依然としてお勧めできない状況が続いている。この資料でも相当旅慣れた旅行者以外には向かないという判断から、掲載を見送っている地域がある。
交通手段についても、アンカラと東南部の主要都市を結ぶ道路は安全が確保されているものの、日没後の通行が制限されていたり、東南部の都市どうしを南北に結ぶ道路には事実上通行できない区間がある。また、検問(身分証明書や荷物の検査)により、移動する距離のわりに想像以上の時間を要する可能性があることも考えておかねばならない。
検問は通常、街の入口、出口の国道を封鎖して行われているが、状況が悪い場合には設置個所が増やされる。外国人に対しては甘い場合もあるものの、かえって厳しい対応をされる場合もある。
なお、検問は圧倒的に男性に厳しく、女性には緩やか。男性に対しては全員バスから降ろして横1列に並ばせたうえ、ポケットの中身を全部出させ、上着を脱がせて検査している検問でも(このとき自動小銃がこっちを向いている)、女性に対してはバスの車内で身分証明書を確認するのみで終わる。
同じようなルートで旅行をしても、検問の厳しさを経験していないせいか、女性旅行者には男性よりも危険度が低い印象を持たれる方が目立つようだ。「安全だから検査されなかった」のではなく「女性だから検査されなかった」ケースが少なからず含まれていることを念頭におくべきだと思う。
夏場を中心に下痢を起こす旅行者は目立つ。通常の飲食店ならば取り立てて不衛生ということはないが、露天商の売る食べ物、特にムール貝のドルマなどは涼しい季節でなければ手を出さない方がよいかもしれない。
水道水は一応飲める状態になっているものの、飲用しない方が無難。どこでも手に入るミネラルウォータを選ぶべき。ところで、トルコの街には泉がたくさん設けられていて、なかには非常においしい水が湧いているところもある。ただし飲用を禁止する意味のサインイチルメズ(içilmez:icilmez)」に注意。
旅程のゆったりしたヨーロッパの旅行者は下痢にかかりにくい印象がある。飲食物に神経質になるよりも厳しいスケジュールを避ける方が効果的と思われる。
下痢のほか、内陸の乾燥した地域を旅行すると普段よりもインフルエンザや風邪に罹ることが多いようだ。手を洗う、うがいをするなどして少しでもリスクを減らしたい。
以下、リスクは少ないものの、感染する可能性がある伝染病を紹介しておく。
患者の便や尿を媒介として感染する病気。日本でも完全に根絶されたわけではなく、年配の日本人には抗体を持っている人も多い。通常の生活で他人にうつす可能性はほとんど無いが1カ月ぐらい入院させられる。どうしても心配な場合は予防接種もある。
潜伏期間は2週間から2カ月、通常ほぼ1カ月。もし感染したとしてもほとんどの場合発症は帰国後になる。尋常ではない高熱とだるさが主な症状で進行すると黄疸が出る。
初期症状はインフルエンザとほとんど区別がつかず、感冒薬や解熱剤を処方されてしまうこともある。肝臓の病気だけに感冒薬や解熱剤を服用するとみるみる症状が悪化(経験者は語る)。まれに劇症化して死に至ることがあるので、処方された薬で症状がよくならない場合にはすぐに服用をやめないと命取りになる(これも経験者は語る)。採血して検査すればすぐ結果は出る。
なお、指定伝染病ではないので、日本に帰ってから発病した場合、旅行保険は支払われないのが普通。
東南部の一部が汚染地域になっている。対策として虫除けスプレーを持参。予防薬服用を考えても良いが、副作用の心配がつきまとうものなので医師によっても意見がいろいろあるようだ。