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温泉に恵まれたキュタフヤ県の中でも、とりわけ豊かな湯に恵まれているのが県内西部、シマーヴやゲディズです。トルコ人観光客には比較的知名度があるものの、外国人観光客は決して多くありません。
交通機関はお世辞にも便利とは言えませんが、エーゲ海方面の目的地からイスタンブルに帰る途中で立ち寄るには都合の良い地域です。シマーヴやゲディズに滞在した後、キュタフヤやブルサを経由してイスタンブルに戻るスケジュールを組めば、充実したお土産を手に入れることもできると思います。
ゲディズから30km東。ムラト・ダーウ(ムラト山、標高2312m)の中腹にあり、ゲディズ周辺を見下ろす眺めのよい温泉地。キュタフヤ県の温泉ではいちばん秘湯の雰囲気が濃いところだと思う。お勧め度はかなり高い。
内風呂は2つあり、午前、午後で男女入れ替え。どちらも設備はほぼ同じ(空いていたので両方見せてもらえた)。6月後半から9月前半までは眺めの良い露天風呂もオープンする。こちらはプールのような雰囲気で、混浴。湯は41度。入浴料は内湯、露天がそれぞれ100円弱、貸しタオルセット約100円。
宿泊は行政の経営する貸別荘タイプになる。3、4人は泊まれる広い間取りで夏場の料金は1部屋約2500円。食材は調達可能でビールなどアルコール飲料も用意している。通年営業しているものの、標高は1450mあり冬は雪も積もる。宿泊するなら夏の方がよい。
ゲディズまではバスを利用。1時間30分かかり料金は約400円。18:00ごろまで1~2時間おきに走っている(夜遅い時間にもアンカラ、イスタンブルに直通する便がある)。
ゲディズから温泉までは公共の交通機関がなく、タクシーを利用する。オトガルの出口近くにタクシーの事務所(Garaj Taksi)があり、通常2、3台のタクシーが待機している。料金は片道約2400円、往復と待ち時間をあわせ4000円弱。片道30分ぐらい。
キュタフヤルラルのゲディズ経由キュタフヤ行きバスは9:00、11:30、14:30、18:30(このほか夜行便もあるが、実用的な時間帯ではない)。ゲディズまではおよそ4時間。ゲディズから先はキュタフヤからの場合と同様、タクシー利用。
ゲディズからトルコ各地へ移動する場合、いったんウシャク(Uşak:Usak)を経由するとバスをつかまえやすい。ウシャクはアンカラとイズミルを結ぶ幹線国道沿いなので、ゲディズやキュタフヤよりも格段にバスが充実している。ゲディズ-ウシャク間は約1時間、1時間ごとにミニバスがある。
ゲディズ盆地のいちばんはずれ、山にぶつかり谷が狭くなったところにある。ゲディズから西へ18km、ゲディズ-シマーヴ(Simav)を結ぶ国道から500mくらい離れている。川沿いに何カ所もお湯が湧いていて、いかにも温泉らしい雰囲気。最も熱い源泉は80度以上。近くを走る国道も交通量は少なく、静かな環境。比較的訪ねやすい秘湯という感じ。
男女別に分かれている大きな風呂が1カ所、午前、午後で男女を入れ替える風呂が1カ所、足湯が1カ所ある。いずれも川沿いにならんでいる。入浴のみの料金は約200円。隣接した敷地に新しい風呂を建設中で、完成は近い。今後が期待できそう。
宿泊は入口から吊り橋で川を渡り、左の方へ2、3分登った丘の上にレセプションがある。リビングとキッチン、冷蔵庫が付いた部屋で夏休みの間は1部屋約2000円、それ以外のシーズンは1000円程度。リビングにはソファーベッドがあるので3人は宿泊できる。部屋の浴室にはゆったりした大理石の浴槽があり、もちろん温泉が引かれている。このほか設備が少し古く、2~3割料金の安い部屋もある。
宿泊用レセプションの建物に併設されたロカンタはオンシーズンのみ。オフシーズンでも鶏肉のウズガラ(網焼き)やサラダなど、簡単な食事を部屋に届けてもらうことは可能。アルコール飲料は温泉の入口にある売店で販売している。
宿泊用の建物がならぶ敷地の裏に大型のホテルを建設しているが、オープンする目途はたっていない。
キュタフヤやゲディズとシマーヴを結ぶバスがすぐ近くの国道を通っている。温泉への分岐点で降ろしてもらい、5、6分歩く。キュタフヤから2時間(約500円)、シマーヴから30分(200円弱)。両方向とも18:00ごろまで、2~3時間に1本ずつ。
ゲディズのオトガルからはシャプハネ(Şaphane:Saphane)行きのミニバスを利用すると温泉の目の前の停留所で止まる。ゲディズ発19:00まで、1~2時間おき。また、シマーヴ-ウシャク間を結ぶミニバスも温泉の前を通っている。1~2時間おきで、シマーヴ発が18:30まで、ウシャク発の最終がウルジャスを通過するのは20:00ごろ。
キュタフヤ県西部、シマーヴの郊外にある歴史の古い温泉地。エイナル温泉には共同浴場やホテル、温泉プールなど、シマーヴ市の経営する充実した施設がある。シマーヴはキュタフヤとイズミルのほぼ中間。エーゲ海方面を旅行した後シマーヴに立ち寄り、さらにキュタフヤで陶器のお土産を手に入れるコースは魅力的。
キュタフヤの温泉の中でもとりわけ湯量が豊富で、温室栽培や暖房など、さまざまな用途に温泉を利用している。源泉の温度は高く、最高90度以上。もちろんお勧め度も最高。
夏休みの期間は相当に賑わうので、予約を入れるか早めに到着できるようスケジュールを組みたい。特に8月26日から9月4日までは見本市が開かれる。この期間は部屋の確保が難しくなりそうだ。
それ以外の時期は静か。冬はそれなりに冷え込み、雪の降ることもある。特に、暖かいイズミルから訪れる場合、服装に注意が必要。しかし、よほど運が悪くない限り交通が途絶えてしまうようなことはない。
シマーヴのオトガルは市街地のいちばん北側、エイナル温泉よりの国道沿いにある。オトガルからエイナル温泉へは市バス(約40円)かタクシー(約500円)を利用する。市バスはオトガル前の通りにバス停があり、シマーヴ発が7:00~23:00、エイナル温泉発が7:30~23:30で、それぞれ1時間おき。バス停近くの売店で切符を購入することになっているが現金払いも可能。ただし釣りは出ないので小額紙幣を用意。
オトガルから温泉とは反対の方向(南側)にシマーヴの市街地が広がっている。エイナル温泉への市バスは、この市街地の南にある市役所前(belediye)が始発で、オトガル前を経由しエイナル温泉までの路線だ。
滞在中時間があれば、エイナル温泉からの市バスで終点の市役所前まで行ってみるとよい。市バスはオトガルを過ぎると緩やかな坂を登り、市街地を抜けてゆく。市役所前からは「Hisar'a Gider」の看板に従って歩いて行くと、シマーヴ市内やエイナル温泉を見渡せる砦に登ることができる(砦にはチャイの店がある)。
砦を訪ねた帰りはオトガルまで市街地を歩いてみるとよいだろう。市役所前の広場から見て左側(西)の方にある、歩行者専用の古い商店街に入る。この商店街には泉がいくつもわき出ていて、水の豊富な街であることがよく分かる。
市街地で食事をするのならば、イェニギュン・ロカンタス(Yenigün Lokantası:Yenigun Lokantasi)がきれいで料理もおいしく人気があるようだ。市役所から下ってきて古い商店街が途切れたところの広場を右(東)へ進み左側。このほかビラハネも数軒ある。
なお、市役所周辺にいくつかホテルがある。万が一エイナル温泉で部屋を取れなかった場合には、こちらをあたってみよう。
シマーヴ市内から来ると、緩やかな登り坂になった敷地に施設が広がっている。2つのホテルに加え、長期滞在用にキッチンや冷蔵庫を備えた貸別荘タイプの建物が多数ある(経営は同じ)。どの部屋にも温泉が引かれている。
ほとんどの読者はホテルに宿泊すると思うが、2つのホテルとも料金は同じでツイン朝食付き約2000円。しかし、それぞれ一長一短がある。
まず、シマーヴから来た道路の突き当たり、市バス終点付近から階段を上った左側にあるのがアシャーウ・オテル(Aşağı Otel:Asagi Otel)。ここは後述する2つの共同浴場やバス停に近い。アシャーウ・オテルからさらに階段を上るとユカール・オテル(Yukarı Otel:Yukari Otel)だ。こちらは同じ建物にレストランと時間帯で男女を入れ替えて使っている風呂がある。食事が近い方を取るか、共同浴場が近い方を取るかの選択。「温泉-レストランで飲む-横になる」という行動パターン(?)ならユカール・オテルが良いかもしれない。
長期滞在用の貸別荘タイプの建物も価格帯はほぼ同じだ。しかし朝食は付かず、建物の種類や位置によって若干の幅がある。
坂の上側のホテルに設けられたレストランにはアルコール飲料もあり、料理の種類は少ないがおいしい。料金はビールとメゼ、肉料理で1000円程度に収まる。ワインやラクを頼むともう少し高くなる。
シマーヴ市内からやってくると、最初に目に入るのは夏休み期間のみオープンする温泉プール「アクアパルク(AQUAPARK)」。周りは温室や公園でなので大きな滑り台がよく目立つ。
アクアパルクに隣接して、バルカンからトルコにかけての地域で最大と言われている「巨大な大浴場」がある。エイナル温泉の売り物で、看板に偽りなく本当に広い!
大浴場を過ぎたあたりに長期滞在用の貸別荘タイプになった建物が続き、突き当たりを右に進むと昔から続いている小さめの風呂がある(市バス終点はここ)。この風呂と大浴場を日替わりで男女交代させるシステムになっている。2004年の時点で大浴場は日、火、木曜日を男性用に、月、水、金、土曜日を女性用に使っている。入浴料はどちらの風呂も約100円。
ユカール・オテルには、温室風の共同風呂が併設されている。この風呂は男女で細かく時間帯が分けられているが、大浴場を利用できない時間帯に使いやすくなっている。
これらの風呂のほか、家族風呂もある。しかし、ホテルの各部屋に温泉が引かれているので、利用する機会は少ないと思う。
キュタフヤルラル(Kütahyalılar:Kutahyalilar)がシマーヴの主なバス会社。長距離便の大半はこの会社になる(キュタフヤルラルの法人名称は「シマーヴ・ゲディズ・バス協同組合」)。シマーヴ-ウシャクなど比較的短距離の路線はベイジェ・ビルリック(Beyce Birlik)のミニバスがカバーしている。
キュタフヤ-ゲディズ-シマーヴ間のバスは早朝から18:00ごろまで2、3時間おき。所要時間はキュタフヤから2時間30分(約600円)、ゲディズから1時間弱(約250円)。
直通がすぐになければ、とりあえずゲディズの少しシマーヴ寄りにある集落、アビデ(Abide)までのバスを探してみるとよい。アビデではシマーヴ-ゲディズを結ぶ国道からウシャクへの国道が分岐している。そのため、シマーヴ-ウシャク間のバスとキュタフヤ-ゲディズ-ウシャク(orイズミル)間のバスを相互に乗り継げる。
イズミル(İzmir:Izmir)からのバスは8:30、10:30、14:00、18:30、シマーヴからイズミル行きは6:30、8:15、11:00、14:00、17:00。所要時間は4時間、約800円。イズミルから直通を見付けられない場合も、アビデまでのバスがないかどうか聞いてみるとよい(イズミル-ゲディズ・キュタフヤ間のバスがアビデを通る)。
バルケシル(Balıkesir:Balikesir)との間はシマーヴ発8:45、バルケシル発14:45に直通があるほか(3時間弱、約700円)、途中のスンドゥルグ(Sındırgı:Sindirgi)乗り換えが4本。天気に恵まれれば景色の良い道路で、バルケシルで乗り換えてブルサやギョネンに向かうこともできる。
ブルサ(Bursa)への直通バスには2種類のルートがある。ベイジェ・ビルリックのシマーヴ8::00発、ブルサ16:00発は山道をショートカットする道路を走り、約5時間でブルサとの間を結んでいる。キュタフヤルラルのシマーヴ発9:30、ブルサ発10:00はキュタフヤ市を経由するルートで約6時間かかる。このほか夜行便が1本、キュタフヤで乗り換えのできる組み合わせが数本。
本数は少ないが、アンカラ、イスタンブルとの間にも直通バスがある。