http://turkey.tabino.info/ (1):表紙
イズミル(İzmir:Izmir)の北東、約80kmに位置するマニサ(Manisa)県サリヒリ(Salihli)市。郊外にはサルディスの遺跡とともに、クルシュンル温泉があります。そう、遺跡探索をしたら温泉に直行という魅力的な旅が楽しめる目的地なのです。
サルディス(Sardis)の遺跡はサリヒリからイズミル方向(西)に約15km離れた村、サルト(Sart)にある。リュディア王国の首都であったところだ(が、リュディアのものはほとんど残っていない)。今は静かな、そして典型的なトルコの田舎の村で、訪れる観光客も決して多くはない。商店などの並ぶ中心街は大通り1本に沿ったごく狭い範囲にまとまっている。
サルトはイズミルからサリヒリを通りアンカラ方面を結ぶ国道にほぼ沿っているが、国道はバイパスになっていて村の中心からは1km前後離れている。イズミル-アンカラ間、イズミル-アフヨン間などを走るバスが頻繁に国道を通過するものの、村の部分は通常バイパス経由になる。これらのバスを利用した場合、バイパスの分岐から10~15分余分に歩かねばならない。
遺跡のある村の中心まで歩かずに行きたければ、サリヒリのオトガルからミニバスを利用する。夕方17:00ごろまでほぼ1時間おきで、料金は約80円。30分弱かかる。
このほか、イズミルからサリヒリのバス会社Salihli Güven(Salihli Guven)のサリヒリ行きを利用した場合、村の中心を通る道路へ迂回してもらえる可能性が高い。サリヒリまで行って引き返すよりは1時間ぐらい時間を節約できるので、イズミルで乗車するときに申し出てみるとよい(サルトで降りる客がいなければ間違いなくバイパスを走る)。
この会社のバスは日中ほぼ30分おきに運行されていて、イズミルからサルトまでの所要時間は1時間と少し。料金は300円強。
遺跡は2つに分かれている。まず、村の大通りに面してギムナジウムやシナゴーグの跡が残る一角から見学をはじめる。ここの入り口に遺跡の事務所があり、入場料(約300円)を払う。
事務所は18:00までオープンしている。イズミルからサリヒリ(そしてクルシュンル温泉)へ移動する途中で立ち寄る場合、後述のアルテミス神殿を訪ねている間、大きな荷物はここで預かってもらうとよい。
次はアルテミス神殿跡(アルテミス・タプナーウ:Artemis Tapınağı:Artemis Tapinagi)に向かう。村の大通りを西(イズミル方向)へ約100m進むと看板があるので、これに従って左折(南へ)。途中にも遺跡が残っているが、15~20分そのまま歩いて行くと突き当たりの左側がアルテミス神殿だ。
アルテミス神殿跡は相当痛んでおり、修復も進んでいない。しかし、いくつか残っている巨大な列柱は見事だ。
ギムナジウムとシナゴーグ、そしてアルテミス神殿とめぐって、だいたい2時間かかる。南側が山なので、秋から冬の季節は暗くなるのが早い。写真を撮りたい場合にはできるだけ早く到着することを勧める。
クルシュンル温泉はサリヒリの郊外およそ6km。市街地からそれほど遠くないものの、谷を突き当たったところにあって、すっかり山の雰囲気だ。施設は行政の経営でよく整備されている。
男女別になった大浴場テルマル・ハウズ(Termal Havuz)と、家族風呂のように貸し切りで使える風呂ジャクジ(Jakuzi)がひとつの建物に入っていて、受付は同じ。入浴料は大浴場が約200円、貸し切りの風呂は1人の場合、約550円、2人なら約800円。
大浴場はもちろんのこと、貸し切りの浴室もかなりゆったりしている。「ジャクジ」の名前どおり、貸し切りの風呂にはジャグジーが付いている。このジャグジーは浴室に取り付けられたスイッチで操作するが(緑色のボタンでスタート、赤色のボタンで停止)、強烈な勢いで噴射するからそのつもりで。源泉の温度は94度。貸し切りの風呂ならば熱好きの江戸っ子も満足できる。
宿泊客もこれらの風呂は別料金になる。
宿泊棟はキッチン、冷蔵庫付きの貸別荘タイプ。2人用(2400円)、3人用(3500円。1人はリビングのソファーベッド)、そして5人用(5200円。とても広い!)が用意されている。どの棟も温泉が引かれた浴室付き。いずれも朝食は別で、11~3月は約2割安い料金になる。
すべて合わせると100棟近くありキャパシティは大きいが、夏休みのピークやトルコの大型連休には満室になる可能性もある。できるだけ早く到着できるようスケジュールを組みたいところだ。もし部屋を確保できなかった場合には、サリヒリ市内のホテルをあたってみよう。
施設内にはレストランがあり、アルコール飲料も用意されている。メゼ2,3品とビール、メインの食事で1000円程度。ワインを頼んだ場合、1500円前後になる。レストランのほか、夏場には軽食の店もオープンする。
宿泊棟がすべてキッチン付きになっているせいかレストランは昼からの営業なので、朝食は自前で用意せねばならない。施設内では早朝から売店が開いており、食材は調達可能。しかし、売店に並んでいる商品はどれも長期滞在向けで量が多すぎる。小分けになったバターやジャムなどをあらかじめ用意しておくとよいだろう。
サリヒリのオトガル裏手からミニバスが出ている。サリヒリ発は9:00、12:00、14:00、17:00、クルシュンル温泉発が9:20、12:15、14:15、17:20。夏休みの時期には客の集まり次第で増便される模様。料金は約60円、15分程度で到着する。タクシーを利用した場合の料金は800円前後になるようだ。
サルディス、クルシュンルの温泉ともに、長距離を移動する際のベースはサリヒリになる。そのサリヒリもさほど大きな街ではないので、方面によってはイズミルを経由した方がよい場合も多い。
サリヒリにも鉄道は通っているが、観光客にはまるで役に立たない。