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黒海沿岸ではトラブゾン(Trabzon)と並んで大きな街サムスン(Samsun)。イスタンブルやアンカラ陸路でやってくると、この街で初めて黒海と対面することになります。
サムスン市自体はこれといって観光客を引きつけるスポットではありませんが、近隣にはそれぞれ趣の異なる魅力的な温泉が2つあります。
別ページで紹介しているリゼ(Rize)県のアイデル(Ayder)と組み合わせれば、温泉ではじまり温泉で終わる黒海の旅を楽しむことができます。
アンカラ、イスタンブルから黒海に抜ける国道沿い、サムスンの80km手前にある街がハヴザ。温泉街は国道の西側の丘の上、坂道沿いに風呂と宿が並んでいる。アマスヤ(Amasya)を訪れる旅はハヴザに宿泊し日帰りで往復した方が楽しめる。
共同浴場が3カ所、時間帯により男女別に使っている風呂と、男性専用、女性専用の風呂がある。いずれも温泉街に固まっているので「ハシゴ」も可。泊まり客用に専用の風呂も用意しているホテルもある。たいていがいわゆる「家族風呂」で、ジャグジー付きもあり。源泉の温度は56度で結構熱め。
お湯は役場が管理していて、枯渇を防ぐために毎日数時間給湯が止められる。たいていは午後に2、3時間程度。「すぐには入れない」こともある。
ホテルは3軒。このほか役場が主体となった新しい3つ星ホテルを建設中で、完成するとこれが一番高い宿になる見込み。現時点でのベストは、温泉街の一番上の方にあるトゥーラ・テルマル・オテル(Toğra Termal Otel:Togra Termal Otel)。料金はシングルで18ドル、ツインで28ドル(朝食付き)、建物の1階部分にあるジャグジーは泊まり客無料。ホテルの他、ペンションやバンガローもあるので夏休みのピークをのぞけば宿に不自由することはない。ペンションならば5ドルくらいから部屋を確保できる。
食事はトゥーラ・テルマル・オテルの向かいにあるロクマン・ヘキム(Lokman Hekim)がよい。なにしろ風呂屋の上にあるので「風呂上がりの一杯」に最高のロケーション。アルコール類がなくてもよければ、トゥーラ・テルマル・オテルのレストランがおいしい。
アタテュルクが滞在した建物が温泉街に残っている。非常によく保存されていて当時の建築や使われていた道具の様子が観察できる。
近くの観光地で訪問しておくべきなのはアマスヤ。ハヴザからはバスで1時間弱。夜遅くまで1時間に1本くらいは走っている。
アマスヤのオトガルは中心街からやや離れているが、かなりの確率でバス会社のセルヴィス(送迎)を利用できるはず。歩いた場合20分前後かかる。
中心街は谷間の川に沿っていてわかりやすく見どころも歩ける範囲である。まず最初に川沿いの崖の上にある石窟墓(Pontic Tomb)に登り、街全体の様子を把握するとよい。
アマスヤにもホテルやペンションはあるがハヴザの方が選択肢は広く料金も安い。もし宿泊するのならばオスマン時代の住宅を改装したイルク・パンション(ilk Pansiyon)が面白い。普通の中級ホテルでコストパフォーマンスがよいのはマーデン(Maden)。
イスタンブルやアンカラから黒海各地を結ぶバスが頻繁にハヴザを通過する。ギレスン(Giresun)、トラブゾンなど東に向かう場合、始発バスの多いサムスンで乗り換えるとさらに選択肢が増える。
バス会社はウルソイ(Ulusoy)を推奨。2番手はメトロ(Metro)。ウルソイのイスタンブル行きなど長距離便はネオプラン製。トルコでライセンス生産した物でなく輸入車。トイレやオーディオ付き。
イスタンブルからは10時間、18ドル。夜行便が中心。アンカラからは約5時間、10ドル。
地図では近そうに見えるサフランボル(Safranbolu)との間はかなり不便。地元のミニバスを途中のカスタモヌ(Kastamonu)で乗り換え、合計6時間程度。
ハヴザのオトガルは国道沿いにあり、温泉街までは歩くと15分から20分かかる。しかもずっと上り坂。ときどきミニバスが走っているほか、宿も送迎をしている。しかしトルコ語ができない限り宿に送迎を頼むのは難しい。荷物のある場合タクシーを利用した方が手っ取り早い。温泉街まで3ドル程度。
サムスン県ラーディッキ(Ladik)にあるハママヤーウ温泉。ハヴザから比較的近いが、こちらは周りに何もない秘湯の雰囲気。第1次世界大戦の後、ギリシャとの住民交換でやってきた人が多い土地で以前はラーディッキの街とハママヤーウ温泉の間にギリシャ人の集落があったという。湯温は35度とぬるいが、不思議と暖まる。
風呂は通年営業しているものの、宿泊は5月中ごろから9月中ごろまでの期間に限られる。料金は5ドル~10ドル、広さによって異なる。共同で利用できる台所あり。
レストランはないが頼めば妥当な料金で肉や野菜のバーベキュー(マンガル)を用意してくれる。アルコール類は売っていないので持ち込みが必須(トルコ語で「酒禁止」と書いてあるが無視)。
売り物は源泉風呂。湯船の底からじんわりと湧いている。ぬるいので1時間くらいじっくりつかれる。ただし「源泉風呂」は原則として女湯で、宿も営業している夏場の夜11時以降だけ男性にも開放される。男の場合、源泉につかりたければ夏場に、しかも1泊せねばならない(なんというセクハラ!)。普段の男湯は、新浴場になる。広い、新しい、きれい、しかし味気ない。
公共の交通手段はない。ハヴザからタクシーを利用した場合、往復10ドル前後という話。料金は交渉する。
サムスンからは途中ラーディキまでバスを利用。約1時間、夕方までほぼ1時間おき。ラーディキ行きのバスはサムスン市街地の西、バフラ・ガラージ(Bahra Garaj)より出発。バフラ・ガラージへは海岸沿いの通りを西へ走るドルムシュをつかまえる。
ラーディキから温泉まではタクシーで15分前後。10ドル以内。