http://turkey.tabino.info/ (1):表紙
この資料では商品やサービスの価格を日本円に換算して表示している。観光客相手の商売を中心に、USドルやユーロなどの外貨で支払いを行えるところは日本よりもはるかに多いが、買い物や料金の支払いは原則的にトルコの通貨トルコ・リラ(以下TL)になり、持ち込んだ外貨のほとんどは両替する必要がある。
ところで、トルコでも普段の預金の出し入れはATMの利用が主流だ。「田舎の街」へ行ってもATMが設置されていることは多い。また、トルコ人の間でもクレジットカードはすっかり定着している。トルコの銀行や信販会社の多くはVisa、Masterといったクレジットカードの大手と提携しており、ATMでは日本で発行されたクレジットカードを利用してのキャッシングもできる。また、CITIBANKなどが発行している国際キャッシュカードを利用できるATMも増えてきた。
旅行の滞在費もこうしたATMの利用でほとんど用が足りるが、紛失や盗難などに備え、リスクを分散しておくに越したことはない。現金、トラベラーズ・チェック(以下TC)、クレジットカード、国際キャッシュカードのそれぞれについて説明する。
激しいインフレが続いていたトルコでは、手持ちのTLをUSドルやユーロといった外貨にしておくことが日常的だった。そうした外貨取引の需要に支えられ、市中には銀行のほか両替商(ドヴィズDöviz、貴金属店兼業の店も多い)がたくさんある。両替商は銀行よりも営業時間が長く、レートも有利なことが多いようだ。
大半のホテルや観光地のみやげ物店は外貨を受け付ける。TLの持ち合わせがなければ、一般の商店やタクシーの運転手も外貨払いに応じてくれる可能性が高い。一般の人が外貨になじんでいるため、現金の外貨の通用度は高い。そして、トルコでTLに両替する際のレートは、TCやクレジットガードなどよりも有利。
紛失や盗難に対する補償はまったくない。また、日本で日本円から両替する際のレートはTCなどに比べ不利。トルコでの両替レートが良くても、「日本円-USドルまたはユーロ-TL」でみると、現金が有利とは言い難い。トルコでのレートには神経質でも、日本での外貨購入時のレートには鈍感な人が多い。
トルコでもっとも一般的な外貨はユーロだが、日本でのユーロ現金の販売レートはUSドルに比べ割高。ヨーロッパも同時に旅行するならユーロを勧めるが、トルコだけならUSドルの方が有利。物価水準を考えると100ドル札、100ユーロ札は額面が大きすぎて使いにくいので、10ドルや10ユーロを中心に。
大都市や有名観光地なら日本円も問題なく両替可能。しかし、ユーロやUSドルのように一般の人がなじんでいるわけではなく、TLに両替してから使うことが多くなる。小額紙幣がないのも使い勝手が悪い。ユーロやUSドルの用意は不可欠だ。
万が一に備えて再発行可能なTCをある程度持って行くことには大きな意味がある。また、日本で購入する際のレートも現金に比べると有利。
TCをそのまま支払いに使えるところはごく限られ、TLへの両替が必要。現金のように両替商での両替はできず、銀行に限られる。銀行での両替にはパスポートが必要で、氏名や滞在ホテルの記入を求められるなど手続きは煩雑。レートも現金より悪いか、手数料(komisyon)を徴収されることが多い。銀行の営業時間はおおむね8:30~17:30で12:30~13:30は昼休み。昼休み直後は混雑しがちだ。日曜日は全面的に休み(空港の支店は営業)。土曜日は一部の銀行が平日よりも短い時間営業している(例えば11:00~15:00)。なお、イスタンブルでは両替商でもTCの両替を受け付けてくれるところがある。
アメリカン・エキスプレス(アメックス)が無難。早い再発行、通用度の高さ、イスタンブルとアンカラにある代理店などが、他社よりも有利な点だ。日本の銀行でも取り扱い支店は多い。また、外国為替を扱う郵便局でも販売している(郵便局では円建てのアメックスは取り寄せになることが多い)。成田空港でトルコ航空が発着する第2ターミナルビルでは、2階の東京三菱銀行と郵便局で入手可能。
ある程度の規模の都市ならば、円建てのTCもほぼ問題なく両替できる。円建てなら購入する際や残金を払い戻す際に為替手数料もかからない。TCはあくまでも予備費と考えているのなら、円建てのTCで十分だろう。確実なのはユーロ建てだ。現金とは異なり、TCなら円-ユーロのレートも悪くない(USドルの方が有利ではあるが)。
クレジットカードでのキャッシングには暗証番号(PIN)が必要なので、出発前に確認。また、発行会社やカードの種類によって取り扱いが違う部分は多い。特に再発行や付帯する旅行保険については持参するカードの条件を確認しておく。
クレジットカードを利用してのキャッシングは、なによりも手軽さが魅力。トルコのATMは24時間動いており(日本の金融機関が例外)、銀行のように営業時間を気にする必要はない。また、少額から(800円相当ぐらいのTLから)利用できるので、帰国間際に少しだけ滞在費のTLを手に入れたい場合にも無駄がない。
ATMでは用紙切れでレシートが出ないことがある。今まで利用した限りでは利用額以上の請求が来たことはないが、不安なのは確かだ。
紛失した場合の再発行は期待できないと思った方がよい。再発行自体は可能でも、短期間の旅行では再発行されたカードを滞在中に入手できない可能性が高い。ただし、再発行はできなくても帰国費用の立て替えをしてくれるカード会社もある。
キャッシングはあくまでも「借り入れ」なので、手数料(利息)がかかる。しかし、両替手数料やTCのような発行手数料もなく、適用レートもまずまず。クレジットカードの請求書と、現金やTCを両替したときのレシートを比べてみたが、手数料まで含めると、ほとんど差がなくなってしまう。
ただし、キャッシングの利息は利用日から支払日までの期間に応じて決定する。支払日までの期間が短い利用締め日の直前に利用するか、期間が長い直後に利用するかによって、他の方法よりも有利になったり不利になったりする。
Visa、Masterのいずれかと提携したカードなら、通用度はどれも似たりよったり。アメリカン・エキスプレスは若干通用度が落ちる(TCとは違う)。「アメックス1枚しか持っていない」というのは少々不安だ。発行会社によって差が出てくるのは、通用度よりもむしろ付帯の旅行保険である。
クレジットカード払いのできる小売店やホテルはかなり多い。大手バス会社もカード払いに対応した窓口を増やしており、イスタンブルやアンカラなら国鉄の駅でも利用可能。ただし、みやげ物店などには現金なら値引きに応じるが、クレジットカードでは応じられないという店もある。有利な支払い方法を使い分けよう。クレジットカードの利用が特に危険ということはないが、観光客向けの店ではトラブルもまれに聞かれる。その場でレシートを確認し、請求まで保管。
滞在費をキャッシングでまかなうにはそれなりの限度額が必要。学生などで限度額が低い場合、一時的に限度額を引き上げてくれるカード会社がある。
クレジットカードと同様、発行会社によって詳細な条件は違ってくる。引き出しや残高照会にかかる手数料、再発行手続きなどについて細かく確認しておく。
利用できるATMが増えており、クレジットカードを利用したキャッシングに近い手軽さ。入金できる金額に上限があるものの、クレジットカードのような限度額の心配もない。日本から口座に入金してもらうこともできる。
引き出しごとに定額で手数料がかかるカードが多く、こまめに現金を引き出すと不利になる。例えばひとりで旅行する場合、トルコの滞在費を考えると1回の引き出しは1万円相当が適当だろう。しかし、この程度の金額では手数料負担がかなり大きい。クレジットカード同様、紛失時の再発行は期待しない方がよい。
TLをUSドルやユーロ、日本円といった外貨に両替する際の手数料は概して高い。多額のTLを使い残してしまうことのないよう、両替やキャッシングなどは計画的に。
通常の滞在費はクレジットカードでのキャッシングか国際キャッシュカードでほとんどをまかなえる。カード払いのできる中級以上のホテルを中心に宿泊する旅なら、この傾向は一段と強まる。
銀行もATMも利用できないケースに備えて現金(USドルやユーロ)の用意も必要。滞在期間にもよるが、1人あたり5 万円相当程度は準備したい。
安全性では依然としてTCが優位。10万円前後のTC(日本までの格安航空券相当、急ぐ場合にはこの程度必要)を、保険のつもりで用意しておくと安心。
クレジットカードや国際キャッシュカードを持っていない場合や、クレジットカードの限度額が低い場合、安全性を考えてTCの割合を増やすことを勧める。