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トルコにおける温泉の作法

お湯に入ること自体は日本と変わりません。しかし、入り方には勝手の違うところもあります。日本の温泉のつもりで行くと「あれれれ」となるかもしれない点もあります。

裸では入らない

絶対人前では裸にならない。普通は持参した水着で入る。同性であっても見せてはいけない!(相当ガードが固い

有名観光地の大きな温泉(例えばブルサ)では「腰巻」を貸してくれる。また、地方の小さな共同浴場でも水着を貸し出してくれるところは多い(使うのは抵抗があるが...)。

温泉の建物

同じ建物に女湯と男湯があるというパターンよりも、2つある建物を使い分けているケースが多い。たいていは新しくて設備のよい新館と、昔からある、ちょっと古ぼけた旧館。だれでも新しい方がいいに決まっているから(そんなこともないか?)、不公平のないよう時間帯や日によって男湯、女湯を使い分けている。

観光地のホテルに併設された風呂には混浴のところもある。しかし一般に内湯の場合、混浴はない。風呂がひとつしかない場合には時間帯により男女交代になる。

露天風呂は大きく分けて2種類。ひとつは風呂のまわりを壁でしっかり囲んだもの。ギョネンのエクシデレ・デー・ウルジャスがこのタイプの典型的な造りである。混浴になっていることは滅多になく、男女別に別の風呂が用意されているか交代制が普通。屋根はないが使い方は内風呂と同じ(それでも開放感はあるし星空を眺めたりするのは楽しい)。

露天風呂のもう一つのタイプはまわりに囲いのないもの。源泉に直接つかる温泉や(ダルヤンなど)、プールに近い使われ方をしている温泉によくある(キュタフヤ県、ムラト・ダーウの露天風呂など)。こちらのタイプは混浴で使っている場合が多い。

入り口では

男湯の時間なのか、女湯の時間なのかを確認。女性用の時間帯の場合、同じ建物でも入口がしっかり閉まっている。料金は先払いが普通。有料のことも多いが、ほとんどの温泉では貸し出し用のタオル(ハウル:havlu)を用意している。

貴重品

日本の銭湯と同じようにカギのかかるロッカーを使えるところは多い。カギには「ゴムひも」が付いていて、手首や足首に巻きつけられるところも銭湯と同じ。ロッカーがないところでは番台で貴重品預かり(emanet:エマネット)をやっていて、最低限パスポートや財布は預かってくれる。ここでもやはり、ゴムひもの付いた預かり札をくれる。

はきもの

当然だが土足で風呂場には入らない(欧米人には「当然」ではないらしい)。日本と違うのは、浴室に素足で入らず、必ず浴室用のサンダルをはくこと。入口で靴を預かりサンダルを渡してくれる場合と、脱衣場(裸にはならないので「更衣室」といったほうがいいか)に置いてあるサンダルを勝手に使うようになっている場合がある。

脱衣場では

ベンチや「ベンチのおばけ(巨大なベンチ)」のようなものが置いてある。これらは、「座って休む」という用途の他、脱衣場における重要(?)な役割を果たしている。例えばズボンをはきかえる場合、床に立ったままは着替えようとすると、どうしてもズボンの裾が床をこすってしまいますよねえ?トルコ人はこれが許せないらしく「ズボンの裾が床をこする」ことを避けるため、ベンチの上に立って、ズボンをはきかえる人が多い。普通のベンチではグラグラして不安定なので、「ベンチのおばけ」が活躍する。くれぐれも、靴、あるいは浴室用のサンダルでベンチに上がらないように(靴でベンチに上がり大顰蹙を買っていたヨーロッパ人を見かけたことがある)。

浴室では

水着に着替えたら、いよいよお湯が待っている。日本と同様、まずは洗い場で体を軽く洗ってから入ること。シャワーはないことが多いが、蛇口の並んだ洗い場は充実している。「おけ」とも「洗面器」ともつかない形状の洗いおけが置いてあるので、これで湯をくんで体にかける。いきなりジャボンと入ると他の客に「むっ」とされるので注意(こどもは飛び込んだりしているが)。そして、体を流すときは必ず座るかしゃがむ。トルコ人は他人の使った水がはねてくるのがどうしても許せないらしく、立ったまま体を洗うのは厳禁!これをやると「むっ」とされるだけでなく怒られる。

お湯の中では

トルコ人の洗い場での行動はどれも「気持ちはわかる」という感じだが、いったんお湯に入ってしまうと、ちょっと感覚が違うようだ。「じーっ」とおとなしくしている必要はなく、お湯の中を歩き回ったり、泳いだりしても咎められることはない。

そろそろ出るか

となったら、普通に出ていけば結構。入るときの逆の手順で脱衣場で着替える。トルコ人は一般に体をよく拭かないようで、脱衣場の床が濡れていることが多い。湿度がわりあい低いせいであまり神経質にならないのだろうが、これだからベンチの上で着替えなければならないことになる。

持っていくといいもの

夏休みなど混雑する時期にはサンダルや「洗いおけ」が不足気味になる。トルコ人の温泉好きになると、足りないという理由ではなく「他人の使ったサンダルや洗いおけを使うのがいや」で自分専用のものを持ち歩いていたりする。マネして買ってみてもよい。温泉地なら必ず売っている。

「トルコ式垢すり手袋」(垢すりタオルの素材で作った手袋というイメージ)もあると雰囲気が出る。こちらも温泉地ならだいたい手に入る。

困ったことに湯上がりに楽しむビールは置いていないところも多い。中には「禁酒」の看板を掲げた温泉さえある(外人にはうるさくないが)。そのような温泉については記事の中で警告しているので、風呂上がりに惨めな思いをしないよう十分な注意を払っていただきたい。